岩波新書には、社会学者・見田宗介氏の著書が3冊あります。
まずは『現代社会の理論──情報化・消費化社会の現在と未来』1996年刊行。次いで『社会学入門──人間と社会の未来』2006年刊行。いずれも幅広い読者に迎えられ、刊行から時を経た今も変わらずロングセラーとして読まれ続けています。「学生時代に読んで人生が変わった」という声も。
そして2018年6月、満を持して『現代社会はどこに向かうか――高原の見晴らしを切り開くこと』が発売となりました。『社会学入門』の最後で示された問題意識を受け、さらにその先への展望を切り開く1冊。刊行直後より、様々な熱い反響が編集部にも届いています。
著者によれば、今回の本はとくに若い世代の方々にも読んで欲しいとのこと。インターネットを通じて本書の情報に触れる世代に向けて、著者から直接のメッセージをいただきました。
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この本の内容の大きいポイントのいくつかを記しておくと、次のようなことです。
人間の歴史は今、第二の巨大な曲がり角、=三千年来の〈転回点〉に立っている。
「近代社会」は、矛盾の産物であり、すでに音を立てての崩壊を開始している。
青年たち、少女たちのリストカットも無差別殺人も、近代社会の崩壊の局面の一時的な現象である。
原発等々、現代社会の「リスク社会」化という恐怖は、「経済成長」という強迫観念から覚めることによって脱却できる。
新しい世代の価値と人生スタイルは、〈シンプル化、素朴化、ナチュラル化〉という方向に向かう。
経済成長の終了の後に、無数の〈永続する幸福の世界〉が一斉に開花する。
「まさか!」と思う諸君も多いと思うが、そこは本書のデータと分析を読んで下さい。
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本文ではまさに「新しい世代」の価値観、幸福とは何かという感受性が詳細に分析されており、驚きと共感を呼ぶものです。
ぜひご一読を!
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